答えが2であってほしい。だから答えは2
生徒の女の子で、かなりいい加減に答えを出す子がいたんだが。
学校の定期テストも、まあ良くて50点くらいだ。
彼女は方程式をこんなふうに解いた。
$$
\begin{eqnarray}
2x=1\\
x=2
\end{eqnarray}
$$
当然ちがう。解は1/2だ。
まず両辺を2で割ることをわかってない。
移項テクニックの弊害でもあるが、2を右辺に移項できると思ってるようにも見える。
あるいは直感で解いた可能性もある。
2÷1は2だし、2×1も2だ。
うん、2と1、が出てきたから、2だ。
2であってほしいから、答えは2。
分数より自然数のほうがすっきりしてて好き。
だからそっちを答えにした。
かつ解を式に代入して検算することもしてない。
お母さんはむろん怒る。娘が心配だからな。
「なんちゅういい加減な解き方するのアンタは」てとこだ。だが、
人間だからありうる
直感で出した答えを疑わないってのは俺ら人間の得意技なんだよな。
大人でもみんなやってることだ。
それを子どもがやってるってだけの話で、驚くほどのことはない。
とはいえ、そのまま今の自分を受け入れてちゃ受験で負けちまう。
勝たせてやりたいんだが、でもどうすりゃいいんだろな。
なんとか論理思考でもって自分の答えを疑う習慣をつけてもらいたい。
オレ様としては、生徒自身に、いい点を取る経験をしてもらうしかないと思ってる。
自分の答えを疑った結果、いい点が取れたっていう経験さ。
高得点が報酬になって、次からは脳がはたらいて、論理思考がはたらくようになんじゃねえかなって期待がある。
こういう脳内の報酬で、自分の答えを疑う機能が強くなるんじゃねえかと思ってる。
その子だけの責任じゃねえ。
そういう方向に導いてやれてない俺らにも責任がある。