ツンデレカフェに客が入る理由
客は全員バカなのか? と思ったが、どうもそうではないらしい。
賢いのは店のほうだな。
ツンデレカフェの話だ。
メイドカフェは知ってるか? ウェイトレスがメイドの恰好で出てくるんだ。
ツンデレカフェもそこまでは同じだが、さらにひとひねり加えてある。
まず狙う客層は男だ🚹
そしてメイドの恰好をしたウェイトレスのお姉ちゃんが、店に入ったあなた(男)の妹だという設定だ。あなたが兄でウェイトレスが妹だ。
入店するなりウェイトレスの接客が「お兄ちゃん、何しに来たの?」
から始まる。
こっちは客として来てるのに「何しに来たの」も無いもんだが、ここからさらにウェイトレスのツンツンが始まる。
ツンデレとは、ツンツン(感じ悪い)したあとにデレっとする(可愛らしさを見せる)の対比で男をせめる手法(?)だそうだが、まあ、アメとムチみたいなもんだ。
このツンツンがすごい。
おしぼりを投げつける。
勝手に注文を決める(コーヒーフロートが欲しいのに、アイスティーにされるる、など)。
といったあり得ない接客だ。
さんざんな目にあって最後、支払いを終わらせて帰ろうとすると、
「お兄ちゃん、来てくれてうれしかったよ。また来てよ」
みたいな可愛らしいことを言われ、客はホンワカした気持ちになって店を出る。
客はこの感じを楽しむため、やってくる。
というサービスだ。
こんなサービスに金払うヤツはバカなのかと思ったこともあったが、心理学的には客の心理は割とまっとうといえる。
メイドの姉ちゃんは、ツンツンのほうでまず客の気持ちを下げる。
するとその下がった気持ちの状態が、客の心の中の参照点になる。参照点とは、デフォルト、初期設定、原点、基準と言いかえられる。
その低い参照点で、デレっとされると、普通にデレっとされるよりも効果は大きい。
まさにアメとムチと同じ原理で、非常によくできたビジネスだ。
ただこの、男女を逆にして、客が姉、ウェイターが弟のツンデレカフェが成り立ちそうに思えないのはなぜだろう。